アピア DOVER120F(ドーバー120F)
自然と言う大きなチェスボードに必要なのは、万能とも言えるクイーン的存在である。
2014シーズン、アピアが最も時間を掛けてトライしたルアーがDOVER120Fだ。
必要なのは、あらゆる状況に柔軟な対応を見せるパイロットルアー。
個性的なアピアルアーの中においても、ドーバーの持つ釣獲力は魅力的に映るだろう。
[全長] 120mm [重量] 18g
[タイプ] フローティング
[アクション] ウォブンロール(6:4)
[フック] ST-46 #3
カラー | 在庫 |
#03 チャートバックグロー | 在庫切れ |
#09 レッドビア | 在庫切れ |
#11 ハマーナイトII | 在庫切れ |
カラーバリエーション
|
|
|
#03 チャートバックグロー |
#09 レッドビア (村岡SP) |
#11 ハマーナイトII (濱本SP) |
リップ付きは流れに強い
流れの中でも安定した泳ぎ(動き)。流れに対する強さというのは、緩やかな流れでも激しい流れでも安定した泳ぎを見せてくれるというニュアンスである。流れが無くて動きが弱い・流れが速すぎてもルアーが暴れにくいという事がリップ付きミノーの特徴だ。また、ただ巻きでボトム付近をトレースする際もリップは障害物を回避する能力があり、根掛かりの軽減につながる。ストップ&ゴーなどのルアー操作を行う事の多いデイゲームなどではアクションの再始動の速さが重要である事と同時に、始動の早さはキャストした距離をロスなく生かせるメリットもある。
フィールドの適応とランカー対応
フック番手を変更しやすい2フックシステム採用。アカメや産卵期のシーバスなど、ターゲットのウェイトが増す時期にも安心して投入できる。また、スプリットリングを介してフックを取り付けるエイト環には、強度の高い太軸のモノを採用。
標準搭載のフックは#3。フィールドの地域差が生むレンジの誤差も踏まえ、潜行レンジは60~90cmとなっている。また、ランカー対応の一つとして、フック番手の変更に伴うテストも行って来た。1番手上の#2を搭載してもフローティングを維持出来る設定となっている。
アクション
ベイトの種に左右されにくい6:4比率のウォブンロールアクション。(ウォブル6:ロール4)ロールの比率を上げると、フラッシング効果は高くなる(視覚に対してハイアピール)ウォブルの比率を上げると水を大きく動かす事による波動のアピールになる。これらをどちらか一方に振り分けるとベイトの種によってパターン化されたものになっていく為、アクション比率は6:4とした。
パウンド・フォー・パウンドはルアーにも存在する
開発着手から完成形を見るまでにDOVER120Fは随分と形を変えた。これは当初のコンセプトとして揺るぎなかったパイロットルアーとしての使命を果たす為に、何度となく細かな修正を加えた結果でもある。付随するのはアクションやレンジ、サイズなどという目に見える単純な部分だけではない。フィールドの様々な変化や地域差を考慮し、通常では考えられないテストをフルシーズン継続的に行う事で、パイロットルアーというある種「特徴」の出しにくいルアーの純度を高めて行った。その一つが製品化直前の金型変更である。通常、一度金型を起こすとルアーはそのまま販売へと突き進む。だがDOVER120Fは、そこで一度立ち止まった。金型からアンバサダーに配るサンプルを大量生産し、ここから更に意見を吸い上げたのである。一度起こした金型を修正するというのは、通常ではまず有り得ない。莫大なコストに加え、更にテスト期間を延ばすという事は大きな負担になる。
だが、アピアにとってこのルアーは、これからの機軸となる模範でなくてはならないし、何よりスタッフ陣が一切の妥協を許さないプライドがあったのだ。出来上がったものをただ受け取り、大人しく使うという人間がテスター陣に存在しない。いかなる製品もそうであるが、彼らは「物言うテスター集団」なのである。初回サンプルから数多くのシーバスを連れて来てくれたルアーだが、こうしてようやく完成したアピア初のパイロットルアーがDOVER120Fである。物作りはワンマンになった兆しが見えると、そのブランドはやがて終わる。エンドユーザーを見ていないという極論へと繋がる。最終的に僕らが思い浮かべるのは、フィールドでユーザーが魚を掛けて笑顔をこぼす姿だ。「DOVER」とはドーバー海峡から取った名前であるが、海峡をも泳ぎ切る強いルアーであって欲しいという願いが込められている。また、ドーバー海峡にはイギリスとフランスを繋ぐ英仏海峡トンネルがあるように、僕らもユーザーと強く繋がっていたいと切に願う。
松尾道洋